現代の急速な情報化や省エネ化を牽引している最も重要な科学技術は、半導体関連の材料・デバイス・システム化技術である。このことを反映して半導体関連の全世界市場は急速に拡大している。パソコンやスマートフォンに搭載される集積回路には高集積化による高速化・低消費電力化が可能なシリコン(Si)が広く使用されている。ただシリコンはバンド構造が間接遷移型をとるため発光素子として利用できない。一方バンド構造が直接遷移型をとる化合物半導体を用いた、発光ダイオード(LED)やレーザなどの光デバイスの進歩は、波長制御可能・高効率化などにより既存光源の置き換えが進み、電子機器に限らず多様な分野での社会的課題解決に貢献している。

本講義では現代社会を支える半導体産業について技術面よりはビジネスとしての側面から現状、課題、今後の展開を説明し、半導体リテラシーをより深めることを目的とする。